Case18-1 公衆浴場法違反事件
この事件は、知事の許可を受けないで公衆浴場を経営したとして、起訴されたものです。被告人は、当初、許可制自体が職業選択の自由に違反すると主張しましたが、最高裁判所ではすでに許可を受けた公衆浴場から一定の距離には新規の公衆浴場を許可しないとする規定(距離制限規定)の違憲を主張しました。 これについて、最高裁判所は、公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠いて、偏在すれば利用者である国民にとって不便であり濫立すれば競争がはげしくなり衛生設備が低下するおそれがあるが、このようなことは公共の福祉に反するものであって、距離制限などを理由として公衆浴場の経営の許可を与えないとする規定は、憲法二二条に違反しない、としました(最大判一九五五年一月二六日)。 一九五五年の判決では、この規制がどのような立法目的であるのかについて明らかにされませんでしたが、後に最高裁判所は、積極的・社会経済政策的な規制であると位置づけて、再び距離制限について合憲判断を示しています(最判一九八九年一月二〇日)。