Case8-3 小売市場無許可開設事件
この事件は、知事の許可を受けないで、小売市場を建設し、小売商人に店舗を貸し付けたとして起訴されたものである。被告人は、小売市場開設の許可制と距離制限が憲法二二条一項などに反すると主張しました。
これについて、最高裁判所は、社会経済分野において規制をおこなうかどうか、どのような規制をおこなうのかは立法府の判断にまつほかなく、裁判所はその判断を尊重するのを建前として、規制が著しく不合理であることが明らかな場合に限って違憲となるとの一般論を展開したあとで、小売市場の許可制は、経済的基盤の弱い小売商の事業活動の機会を確保し、小売商の正常な秩序を維持するために、過当競争が招く共倒れを防ぐためのものであるから、小売市場の許可制が目的において一応の合理性を認められ、手段と態様においても明らかに著しく不合理とは言えないとしました(最大判一九七二年一一月二二日)。