Case8-4 薬局設置不許可事件

 この事件は、薬局の開設を申請したが、既存の薬局からおおむね百メートル離れていなければならないとする配置基準に合わないとして不許可となったので、この基準が憲法二二条に違反するとの理由で不許可処分の取消をもとめたものである。

 これについて、最高裁判所は、許可制は、それが社会・経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置である場合には、許可制に比べて職業の自由に対するよりゆるやかな制限である職業活動の内容や態様に対する規制によっては目的を十分に達成することができない場合に用いることができるとの一般論を述べたあと、薬局の適正配置規制が、消極的、警察的措置であり、国は薬局が偏在すれば競争が激化し、一部薬局の経営不安定を招く結果、不良医薬品の供給の危険があり医薬品乱用を助長すると主張するが、そのような事情は認められず、許可制をとる必要性と合理性を説明する理由とはならないとして、憲法二二条一項に違反し、無効である、としました(最大判昭和一九七五年四月三〇日)。つまり、他のゆるやかな手段によっても目的を対することができるから、適正配置は必ずしも必要ないとの判断を示したのです。