河川附近地制限令違反事件
この事件は、ある河川附近地が河川附近地制限令により砂利の採取に許可が必要となったが、従来よりそこで許可を得ずに砂利の採取をおこなったので、起訴された事件です。
これについて、最高裁判所は、このような規制は、公共の福祉のためにする一般的な制限であり、原則的には、何人も我慢するべきものであり、この程度の制限には損失補償が必要ないとしました。ただ、この事件の被告人は従来からおこなってきた砂利採取ができなくなったのであるから特別の犠牲をこうむったとみる余地があり、砂利採取を制限した法令に損失補償に関する規定がなくても、あらゆる場合に補償なしで制限する趣旨ではなく、憲法を直接根拠にして補償を請求できるので、この法令は違憲無効ではない、としました(最大判一九六八年一一月二七日)。