農地改革事件

 この事件は、農地改革で所有農地を買収されたが、その価格が憲法にいう「正当な補償」に当たらないとして裁判をおこしたものです。

 これについて、最高裁判所は、憲法二九条三項にいうところの財産権を公共の用に供する場合の正当な補償とは、その当時の経済状態において成立することを考えられる価格に基き、合理的に算出された相当な額をいうのであって、必ずしも常にかかる価格と完全に一致することを要するものではない、としました(最大判一九五三年一二月二三日)。

なお、農地改革とは、第二次世界大戦直後におこなわれた農地制度の改革で、大地主から土地を国が強制的に買い上げて、従来の小作農に廉価で譲り自作農を創設した戦後の民主的改革の一つです。