帆足計事件
この事件は、帆足計という人がモスクワでの会議に出席しようとしたら、「日本国の利益又は公安を害する」などの理由で、旅券を発給してもらえず、会議に出席できなかったため、国に対して損害賠償を請求したものです。
これについて、最高裁判所は、憲法二二条二項の「外国に移住する自由」には外国へ一時旅行する自由も含まれるが、外国旅行の自由といえども無制限ではなく、「日本国の利益又は公安を害する」などの理由で、旅券を拒否することは合理的な制限であり、占領下の日本が当面した国際情勢の下ではモスクワの国際会議に参加することが「日本国の利益又は公安を害する」と判断した外務大臣の処分は違法ではない、としました(最大判一九五八年九月一〇日)。