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症例紹介

  認知症の方が初めて総義歯を使うことになった症例
部分義歯を入れたこともなく、初めて総義歯を使用しなければならなくなった時、お口の中の様子は大きく変わります。

認知症でなくても 慣れるまで不自由を感じる方が多いのですが、認知症の場合 初めて口に入れた時に痛みなど不快を感じると なかなか口を開いてくれなくなることもあります。

ご自身で着脱することが難しい場合も多くあります。

しっかり噛みしめることをしていない場合、義歯を安定させることが難しい場合があります。

今年も何例か認知症の方に義歯を入れましたが、ご家族の協力もあり、よく噛めるようになったと喜んでいただいています。


  子供用の歯磨き
ある高齢者施設でのお話です。

スタッフが 「この方は うがいを じょうずに できないので、子供用の歯磨きを使ってブラッシングしてあげています。子供用なら飲み込んでしまっても だいじょうぶと思ったので そうしています。」と 報告されました。

歯磨きペーストを使用せず 歯ブラシだけでブラッシングすれば よいでしょうと 指導しました。



プチ矯正
歯科用語では MTM(マイナー トゥース ムーブメント)、部分歯列矯正といいますが 分かり易く表現してみました。
最近 お子さんの健康診断で 上前歯が下前歯の内側に 咬み合わさっているのを よく見ます。交叉咬合といいます。
乳歯の前歯が交叉咬合なら 必ず永久歯も交叉咬合になる ということはありませんが、可能性は高いでしょう。
この症例も放置したら 永久歯も交叉咬合になっていたでしょう。下の歯に合成樹脂の装置をはめて 上の歯を斜面で誘導します。
装置は食事の時は外します。2本続けて萌えてきたので 斜面を改造して誘導しました。期間は約1か月でした。
翌年 脇の歯もこの方法で矯正しました。
少し内側に咬み合ってからでもこの方法で矯正できます。
こうすることで 永久歯が萌え揃ってからの本格矯正治療が容易になります。あるいは不要になるかもしれません。
ブラッシングがしやすくなるので むし歯にも なりにくくなるでしょう。

乳歯の時前歯が上下2本づつ反対にかみ合わさっていました。
下の前歯が2本萌えましたが、上の乳歯より前に並んでしまいました。

横から見たところ

上の乳歯が抜けて永久歯が萌えるのを待っているとき

永久歯が萌えてきましたがこのままでは乳歯と同じように反対咬合になってしまいます

咬合斜面板という装置を下の歯にはめます。

少しづつ前に向いてきました

左の前歯も向き直ってきています

正常なかみ合わせになりました

横から見たところ





初めてのフッ素塗布
フッ素塗付を希望して来院した5歳の男児。

お母様に問うとフッ素塗付は初めて、歯科の受診も物心ついて初めてでした。

明朗なお子さんで はきはきと挨拶をして一人でユニットに着座してくれました。できるかな?と思いましたが、お母様に「お子さんが嫌な思いをして歯科医嫌いにならないように、今日はフッ素塗付をせずに何回か通ってもらい、嫌がらないようにして行いたい」と説明して、初日はブラッシング練習のみとしました。

好きなイラストの歯ブラシを選んでもらい、座った姿勢で手鏡で口の中を見てもらいながらブラッシングしてもたったところ上手にできました。「きちんと きれいになったか 確かめたいから横にするよ」と言うと案の定「それはいや!」。で、初日は終わり。

2回目の来院、「今日はこの間 教えた磨き方ができるようになったかもう一回やって見せてね。」と手鏡を渡すと「四角い鏡はいや ! 僕の顔は四角くない。」確かに初日は楕円形の手鏡だったっけ。丸い鏡を用意して、しばらく座った姿勢でブラッシングしてもらってから、「奥の方をよく見たいから寝てくれる?」「いや!」「太郎君(仮名)のいうことを さっき きいてあげたんだから、今度は先生のいうことを太郎君がきいてよ。」といって背を倒すと ちょっと緊張した顔つきになったけど、手鏡で見てもらいながら一緒に奥歯の様子をチェックしました。

その間にスタッフがフッ素剤を用意したので、綿球に付けて「香りをあててみて!」と鼻先に。「わかんない」「リンゴかな」

「ちょっと歯に付けてみよう」ずっと手鏡で見てもらいながら2回目は上顎を全歯塗付完了。3回目で下顎も塗付完了。

帰りに、「また、歯ブラシの練習にいらっしゃいね」「はーい」

とファイブタッチ




私、硬いもの だめなの

柿の美味しい季節でした。高齢者施設での話。

患者さんの治療を終えて帰ろうとしたところ、数か月前に入れ歯を修理した別の患者さんが おやつに出された柿を前にして、「私 硬いもの食べられないから 食べて」と お仲間の前に皿を移動。写真のように 薄切りにしてありましたが、これよりもゴマの入った一見硬そうな柿でした。

フォークで刺してみると、食べられる硬さと判断できましたので、食べてもらいました。「私、硬いもの だめなのよ」「この位咬めますよ」「そーぉ、なら 食べてみますね」と口に入れてくれました。が、見ていると、顎を横に動かしているだけで、噛みしめようとしません。「しっかり噛みしめて!」と声掛けすると、グシュッといい音が聞こえます。「ほら、咬めたでしょ。同じように噛みしめて!」と 声掛けしないと また顎を左右にスリスリ。

認知症のため、一切れ口に運ぶたびに「私 硬いもの だめなのよ」「ほーら、美味しい味が出てくるでしょう」などとも声掛けしているうちに 6切れ完食。

最後まで「入れ歯でも 咬めるんですね」と認識していただけませんでした